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わたしの統合失調症闘病記⑤

年内に完結できなくてすみません!

あと、今回のお話は実在する団体に触れますが、名前は伏せますし、詮索したり、特定するような行為はしないでください。

あくまで、僕個人の意見ですし、なによりその人たちを傷つけたくはないので初めに言っておきます。

ただ、あくまで”僕個人の体験をありのままに書く”というモットーを曲げたくはないので正直に書きます。そこに悪意や敵意がないことは最初に理解してほしいということです。

それでは、第5回、精神福祉施設で過ごした6年についてお話しします。

高学歴学生から一転、お菓子の箱折りという単純作業をやらされ辟易する

大学を中退して、暇になったので、母が「このまま家に置かせておくのはまずい」と思ったのでしょう。主治医と相談して障害者が通う施設を紹介してくれました。

そこでは簡単な軽作業を行っている、と聞いていました。

早速、言ってみると、とても狭い部屋に10人以上集まって、必死にお菓子の箱を作っていました。それもかなりの高速で。

で、所長とお話ししたんですが、所長はとてもいい人でした。今でも尊敬してますし、年が年なので今年度で引退するようですが、秋田県の精神福祉でもトップの方です。

ですが、通っている人たちは見るからに精神障害者って感じで、行動もぎこちないし、なにを話しているのかまったくわからない人もいました。

そこの施設は精神だけではなく、発達障害や自閉症の方も受け入れていたので、そうだったんだと思います。

正直、そこでの日々はつらかったです。誰ともしゃべらず一人黙々と箱を作りました。

でも、なんで自分がこんな作業をやらされなければいけないのか、正直、意味が分からなかったです。

ちょっと前まで優秀な成績で大学に通ってて、ずっとエリートコースを歩んできたのに、僕の人生どうしちゃったの?って感じです。

周りの人とは関わる気にはなれませんでした。

そこではすごいペースで業者さんが箱の入った段ボールを持ってきます。

それを一日、必死に折るんです。

だけど、僕が月にそんなにいかなかったのもあるだろうけど、もらえるのは数百円でした。

毎日通っても2千円いくか、いかないかくらいだと思います。

このころはこづかい制だったので、お金もなく、けっこう大変でした。

そこで、障害年金をもらう手続きを取ることになり、なんとか2級として通り、受給できるようになって、自分でお金を管理できるようになりました。

また、どうしてもその施設では合わないし、給料も少ないので、就労施設B型という、雇用ではないが一定の時給が発生するところを所長さんに紹介してもらい、移ることになりました。

それがたぶん、2016年の9月だったと思います。

時給に見合わない労働、まわりはおしゃべりしてる

就労支援B型事務所は全国各地になるので、わかる人はいると思いますが、軽作業を通して、時給いくらで工賃が発生します。そこでは時給300円とこれでもB型の中では高いほうでした。また、名前の通り、ハローワークと連携して障害者雇用への就労を目指します。

そこの事業所は一風、変わっていて、寄付品をリサイクル品として販売する店舗があり、それを利用者(当事者のことです)が運営していたり、ひきこもりの人が運営する喫茶店があったり、寄付品をヤフーオークションで販売するなど、意欲的な事業展開をしていました。

そこの理事長はかなり顔が広くて、市議会委員や県議会委員ともつながりがあるし、秋田の界隈でも経営者としてかなり優秀で評価されていました。僕も理事長にはずいぶんお世話になりましたし、感謝しています。

だから、これからのことを書くのはあまり気が進まないのです。ですが、経験したこととして、僕は記しておきます。

そこの事業所では絵が描ける人が多く、漫画を描いている方が何人かいました。その方が描いた漫画をkindleで電子出版する、ということを僕が来た時にはすでにやっていて、その担当者が退所するということで、教わって、手探りながら、僕が引き継ぐ形になりました。

しかし、それは骨の折れる作業でした。

まず、原画は鉛筆画です。ボールペンの場合もありましたが、基本アナログなので、まず、スキャナで取り込みます。

取り込んだ画像をフォトショップで立ち上げて、ごみ取りをします。

マンガを描いたことがある人はわかると思いますが、原画には消しカスなどの汚れがついています。これを手作業で取り除きます。はい、手作業です。この時点で気が遠くなります。

次に、コマと吹き出しはフリーハンドだったりしたので、一回全部消して、正確に引き直します。これも全部、手作業です。イラストだけを正確に残して手作業でコマと吹き出しだけ消します。しかもマウスで。しんどい。

そのあと、文字も消して、文字を打ち込みなおします。やっと完成が見えてきました。

最後に線の濃さなどを微調整して、表紙は書いてもらい、デザインは他の人がやり、kindleの電子書籍の形にして、販売していました。

これを時給300円でやってました。

友達に説明したら、「それで300円しかもらえないの?」って言われました。それもそうだと思います。

あと、僕が一番いやだったのが、僕が集中している間もみんなはおしゃべりに夢中でいつもうるさいことです。

その事業所ではちゃんとまじめに働く人と、適当に作業しながらだべっている人が混在していました。もちろん、僕はまじめに働いていたわけですが、適当にだべっている人の声を聞くと無性に腹が足ちました。その人と同じ時給なのは不平等ではないかとも思いました。

その事業所の雰囲気は好きでした。誰もが平等に受け入れられてる感じ。前の施設のように、いかにもな障害者もいませんでしたし、そんなに重い症状の人はいませんでした。普通に友達もできて、休日に遊んだりもしました。

だけど、僕が嫌だったのは、全部、支援員が仕切らないとみんな動かないことです。僕が勝手に準備を始めようとすると、「いや、それはやり方が違うから」と利用者に指摘され、結局、初めからやり直しになるので手出ししないことにしました。

ここで僕が問題にしたいのは、それって本当に当事者のためになってるんですか?ってことです。

いつも支援員がついて回らなければならないのなら、その人が自立して社会に出た時、誰か支えてくれるんですか?

僕は障害者扱いされるのが大嫌いです。

そこの支援員はみんな優しい人でした。尊敬できるぐらいいい人たちばかりでした。だけど、自分が手を出す前に、「やっておくね」って手を出されるのは、正直、いい気持ちがしなかったです。

「あなたはこれができないだろうから、やってあげるね」という思考が透けて見える感じがして。

変に気を遣われたりするのも、本当は嫌でした。

そこではなにもかもが作り物のように思えました。

みんな優しすぎる。

伝わりますかね?そこでは当事者の責任と主体性が損なわれていたんです。

なにか失敗しても支援員が責任を取ってくれる、自分がやろうとしなくても支援員が先に動いてくれる。

果たしてこれは正しい福祉の在り方なのだろうか?と僕は思います。

少なくとも、僕は、ずっと「障害者扱い」されていたと思います。

本当は行くのがつらかったです。自分に自由なんてないんだと思いました。

行かないと母は大声で怒鳴りました。

やっぱり行くしかないんだと思ってバスに乗って、だけど、やっぱり行けなくて帰ってくる、ということもしばしばありました。

僕は無理をしていました。

ずっと作り笑いを浮かべてへらへらしてました。

そうしてないといけない気がして。ここはそういう場だから。自分に自由はなくて、やれって言われたことをやらなきゃいけなくて、でも、そこに責任も主体性もない。自分から動くことはできない。失敗しても責任は誰かがとってくれる。

そのときの僕は底なし沼に沈んでいくようでした。

誰もが言いますね。「今が底だからあとは上がるだけだ」って。そんなことないです。底がなくて、逃げられない場所はあるんです。

僕はずっと、底なし沼から這い上がってくる手に足をつかまれ、ゆっくりと、ゆっくと、沈んでいきました。

まず、心を殺しました。

つらいと思うことがつらかったからです。

自分の意思をなくしました。

邪魔で無意味だったからです。

それが間違いだったと気づいたときにはもうすでに手遅れでした。

次回は、黒歴史である自分の恋愛(というかただの依存関係)の話をします。

次はもっと暗いです。どん底まで落ちます。

ああ、書くのつらいなあ。

でも、改めて文章にするとよっぽどこのときつらかったんだなってわかりました。

そして、今のこの環境がいかに恵まれているか。

その幸せを噛みしめて終わりたいと思います。

施設を対処する話は恋愛(共依存)の話の後です。だんだん現在に近づいています。

それと、もう一度言っておきますが、決して施設名を特定したりしないでください。わかっても人に言わないでください。

迷惑をかけたくないんです。

僕も、その施設ではずいぶんお世話になりました。その恩を仇で返す様なことはしたくない。

ただ、福祉に対しての問題提起として、そして、自分の闘病記を書く上で避けられなかっただけです。

悪意や敵意はありません。これからもそこの施設なりの方法で当事者を支援していってほしいです。

ですが、それは自分には合わなかった、というだけのことです。

あくまで個人的な話なので聞き流していただいて構いません。

そういう人もいるということを覚えておいてもらえたらそれだけでいいです。

それでは「わたしに統合失調症闘病記⑤」を終わります。

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