まず、お詫びしたい。10位になってしまって非常に申し訳ない。
このアルバムは非常によくできたポップアルバムとしての傑作である。しかし、その上にくるアルバムがあまりにもとがっていたので、本ランキングではこの位置についた。
本ランキングは音楽の革新性を高く評価するのでポップアルバムは弱いのだ。しかし、これはまごうことなく傑作である。
まず、一音目、「満月の夜なら」のドラムのパンチに驚かされる。
あいみょん – 満月の夜なら 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
あいみょんは弾き語りで曲を作るが、プロデューサーにR&B系の方を迎えることが多く、サウンド的にも新鮮な音が詰まっている。かと思えば、「夢追いベンガル」みたいなパンクサウンドになったりして、サウンドの多彩さ、アルバム曲の良さとしては非常に高評価だと思える。
あいみょんといえばやっぱり歌詞だろう。あいみょんの歌詞はとてもリアルである。どこかの女の子が実際に考えていそうな、日常的で具体的な風景やにおいを伴って彼女の歌詞は響いてくる。特に風景描写はすごい。
あいみょん – マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
”麦わら帽子の君が 揺れたマリーゴールドに似てる
あれは空がまだ青い夏のこと 懐かしいと笑えたあの日の恋”
瞼の裏にくっきりと映像が浮かび、そしてそこには”におい”がある。マリーゴールドなら夏のにおい。”恋をしたから”は冬のにおいがする。
いつもあいみょんには季節のにおいが漂っていて、だからこそ、リアルに、ある種映像的に曲を聴ける。そして人々の思い出によりそう歌詞でもある。誰にでもあるような心を奪われるたった一瞬の恋。そんなものをあいみょんからは感じる。
残念ながら今年の紅白ではあいみょんは見れないらしい。本当になぜなんだろう?アルバムも売れたし、シングルもめっちゃヒットした。というか紅組が椎名林檎とLiSAくらいしかいなくて見どころがない。白組はOfficial髭男ismやKing Gnu、菅田将暉と初出場組が豪華なのにこれはなんたることか。
ビルボードチャートにも二年連続でマリーゴールドが入っているのに、なぜ。
まぁ、いい。今年リリースされた「真夏の夜のにおいがする」は衝撃的だった。ダークで、どこか日本的なわびさびがある曲で、このタイトルだけでどんなにおいかわかっちゃうところはもう発明だと思う。「空の青さを知る人よ」はストレートなラブソングだ。ここまでストレートなものは今まではなかったんじゃない?と思えるくらいに王道だ。この王道と邪道の組み合わせがまたなんともあいみょんらしいところだ。いずれにしろ、今後もどんどん成長していっていずれドームを埋めてほしい。
近年、女性アーティストのヒットが減っていたため、こういうフレッシュな女性シンガーソングライターは大きな存在となっていくだろう。