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Official髭男ism「I LOVE…」の革新性 -「Traveler」のその先へ-

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ヒゲダンの新曲のMVが15日に突如として公開された。そしてみなさん同じ気持ちだと思うが、その尖鋭性に驚かされた。

 

ヒゲダンは「Traveler」で商業的にも音楽的にも最高水準のポップを鳴らして大成功を収めて一躍、国民的人気バンドとなった。それがまだ10月のこと。まだあれから3か月しかたってないのだ。なのに、このサウンドの変化はなんだろう。まず、シンセを多用した音作り。しかもヒゲダンは打ち込みではなく実機を弾いて作るのが好きなので、MVにもMini MoogとJUPITER-8が映りこんでいる。ベースはエレキベースではなく終始Mini Moogを弾いてる。そのサウンドの未来感、革新性、尖鋭性。まさに2020年を感じさせる曲となっている。

 

普通、バンドがここまでのことをやるだろうか。MVを見ていてもギターの出番はほとんどないし、ピアノはサビでしか出てこない。このサウンドはもはやバンドと言えるのだろうか?というくらいかけ離れてしまっている。しかし、ヒゲダンには「Traveler」が成功したからこそ、次に進まなければならなかった。次のスタンダードをつくらなければならなかった。そして、その答えがこの曲に詰まっている。彼らは時代の一歩先、いや、5歩先くらいを歩んでいる。

 

そして、MVがまたいいのだ。このMVでは様々な愛の形が描かれている。老夫婦の愛、友達同士の愛、妊婦さんの生まれてくる赤ちゃんへの愛、親子の愛、飼い主と犬との愛。そしてこれは特筆しなければならないと思ったのは女性同士の恋愛が極めて自然に描かれていることだ。LGBTはもう社会に根付いて、普通のことのように受け入れられている。一方で保守的な考えでそれを認められない人がいるのも事実だ。自分と特異なものを避けたくなる理由はわかる。特に日本ではいまだにLGBTの問題は尽きず、女性同士、男性同士の結婚は認められないままだ。それを日本のバンドがごくごく自然に女性同士の恋愛を描いている。それも、そのシーンが出てくるのはMVの後半、すでにこれは「愛」をめぐる物語である、という共通認識が出てきたころに、ポンと入れられるから、すんなり受け止められる。これはとても革新的なことだ。こんなMVをつくれるのはヒゲダンしかいない。こうやって違和感なく社会的メッセージを愛という普遍性の中に包んで贈り物のように差し出せるのは。

 

ヒゲダンの歌詞は主語が限定的ではない、という議論がある。「Pretender」で顕著なのだが、あの曲は「君」は出てくるのに「僕」という単語は出てこない。だから、どんな状況も思い受けベられる。ある人には不倫の歌に聞こえるし、ある人には失恋の曲に聞こえるし、ある人には普通に片思いの曲をして聞こえる。その主語の大きさはこの曲にも顕著で、この「I LOVE…」という単語はどんな対象にも当てはめられるように意図してつくられている。だからこそ、この曲はサウンドは新しいのにポップソングとしての伝播力を備えた強力なラブソングとして響く。

 

ヒゲダンはこれからどこへ向かうのか。本人たちもよくわかっていないかもしれない。しかし、間違いなく言えることは、ヒゲダンが未来のJ-POPを創り出す、ということだ。

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