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ディスクレビュー-女王蜂「BL」

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女王蜂の快進撃が止まらない。アニメ「どろろ」の主題歌になった「火炎」は本当に素晴らしい曲だった。最初は打ち込みから始まり、Bメロでゴスペルになり、サビで強烈なギターソロが盛大に煽る。今までサブカル色の強かった音楽性から抜け出し、真にポップなもの、それでいてロックなもの、そして洋楽としても通用するサウンドを希求するようになった。

そして、この「BL」という曲でまた驚かされた。まさかのトラップである。もはやバンドでやる意味はない、ベースもシンセだし、ドラムもほとんど打ち込み。しかし、確実に世界で通用するサウンドだ。もはや世界でギターロックが通用する国は日本ぐらいしかない。アメリカでバンドやりたいと思う人はいない。それよりはマイク一本でなんとかなるラップやトラックメイクに進む人のほうが圧倒的だろう。一人でできるし、スタジオ代もかからない。彼らはなぜ、トラップをバンドでやるのだろうか。アルバムを通しても目立つのはサブベースで生楽器はほとんどでてこない。しかし、彼らはこのサウンドをバンドでやることを、日本で音楽をやることと関連付けているのではないか。日本ではまだまだバンドと言われたほうがわかりやすい。聞きやすい。ブッキングもしやすい。もちろん、慣れたメンバーで世界へ売り出したいという目的もあるのだろう。

そして、このMVである。独特、としか言いようのない世界観。わかりそうで全くわからないストーリー。映像としての美しさ、洗練さを全面に押し出し、中身なんて別になくてもいい、フラッシュ映像のような、寄せ集めの映像が重層的に重なって映像美を構成しているような、摩訶不思議なMVだが、こんなに音楽性を雄弁に説明しているものもそんなにないだろう。

ちなみに一応説明しておくと、ボーカルのアブちゃんは性別非公開である。そのへんも実に現代的というか、アメリカではポップ界隈ではLGBTQを公開するのは珍しいことではないし、むしろそれを売りにしているようなところもある。

彼らのサウンドは間違いなく、日本で最もアメリカに近接した音楽をやっている。今の音楽はとにかく暗く、エモいものが好まれる。それを全面に押し出したのがビリー・アイリッシュだし、ポスト・マローンやドレイクだ。今の若者は抱えきれない絶望を背負っている。だから、それを肯定する音楽、絶望しててもいいんだよ、一歩も前に進めなくてもいいんだよ、そのままでいいんだよ、と自己肯定を促す音楽が現代の主流。それは不幸なことでもあると思うが、時代的に鑑みると、90年代にNirvanaが出てきたのと極めて同種なムーブメントであると考えられる。その流行に女王蜂も乗ったわけだ。日本の音楽はまだまだ遅れている。「bad guy」を理解できるのはまだ少数だろう。しかし、いずれ時代は追いつく。そのときに評価されるのは女王蜂のような時代に合わせて自在に音楽性を変えられ、その上でポップを追求するアーティストだけだ。

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