藤井風という新人SSWの存在を知ったのは父が教えてくれたからだ。突然、あんまり話さない父が「この人知ってる? 次に売れる期待の新人なんだってさ」と教えてくれたのがこの「藤井風」だった。
さっそくYouTubeで動画を見て、その技巧性に驚いた。新人SSWと思えないようなおしゃれなコード、ピアノの美しさ、流麗さ、そして一度聴いたら忘れられなくなる声。完璧だった。
そしてもっと驚きなのは彼が若干21歳だということだ。21歳でここまでピアノが弾けて、曲が作れるというのは異常だ。まさに天才、という称号にふさわしい。
彼のピアノはかなりジャジーで、コード進行に特徴がある。これは一朝一夕に身につくものではないし、おそらく幼少からピアノを習っていたんだろう。また、YouTubeでは既存の曲のコードを変えたという動画もあげているのだが、これがまた素晴らしい。彼にひかせるとどんな曲でもジャズになる。もしかしたらジャズのアドリブ演奏などで腕を磨いたのかもしれない。彼はカバー動画もあげているので見ていただきたい。
最近はどんどん若い世代のSSWが増えてきている。売れ線だとあいみょんなんかはデビューが20歳、アニソンで活躍しているさユりは19歳でデビューしている。かくいう藤井風も去年の11月にデビューしており、今後の活躍が期待される。特に最近多いなと思うのが、アカデミックな教育を受けた人が活躍するという構図だ。King Gnuの常田大希が東京芸大に在籍していたのは有名な話だし、ヒゲダンの藤原聡もクラシックピアノを幼少期から習っている。日本は裕福な家が多いし、ちょうど彼らの世代は習い事が増えた世代だから、そこから現在の音楽家の人生につながっている。しかも藤井風のように今はYouTubeがあるので発信しようと思えばいくらでも演奏してみたを挙げられるし、そう考えると幸福な世代なのかもしれない。
これからさらに音楽的素養を身に着けたプロ顔負けの若い音楽家が増えていくだろう。そこと戦っていくのはなかなかに厳しいことだ。もっと今の現役バンド世代も柔軟に時代に適応していかなければならない。自分が時代遅れのレッテルを張られる前に。