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黒人は音楽で世界を変える-ジャズ編

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ジャズは魂の音楽だと言われる。これはあながち誇張ではない。

終戦後の40年代、ビバップと呼ばれるジャズが生み出される。生み出したのは伝説のサックス奏者チャーリー・パーカーとトランペット奏者ディジー・ガレスビー。彼らの音楽の特徴はとにかくテンポが速いこと。そして超高速で織りなされるソロの熱演だ。戦前にもジャズは存在したし、フランク・シナトラは戦前からトップ歌手だったが、そのころのジャズはいわゆるビッグバンドジャズで今の吹奏楽をジャズにした感じだ。オーケストラ並みの楽団を率いて演奏するのが主だった。しかし、ビバップはトリオやカルテット編成、ピアノ、ドラム、ベース、ホーンというジャズバーで簡単に演奏できるような小規模の編成へと変わっていった。ちなみに、このビバップ、簡単には受け入れられなくて、戦争から帰ってきた白人がビバップを聴いて、「なんだこの音楽は!こんなのチャイニーズミュージックだ!」と言ったそうだ(笑)。中国に失礼だろ。

基本的にビバップまでは白人の西洋音楽理論を使っていた。しかし、これが黒人には気に食わなかった。ジャズとは黒人の音楽である。そこに白人の理論が使われているのは納得がいかない、と。

そして、一人の天才、マイルス・デイヴィスが「モーダル・ジャズ」を成立させる。

理論的な背景は省くが、簡単に言うと、どこで転調してもいい音楽、というのがモーダルだ。西洋音楽だと基本的にキーは固定で、転調するときには合図がいるし、部分的に一小節だけ転調する場合もある。しかし、そもそもモーダルにはキーという概念がない。いつ、どういうコードが来てもいい。実際、60年代後期になると一小節おきに転調するというはめをはずした曲も出てくる。

西洋音楽理論は徹底的に理論的構築を目指しており、自分たちに説明できないことはない。理論ですべて音楽の感動を作り上げることができる、という考えだった。しかし、これは究極を言えば、理論の檻にとらわれるということであり、そのため、クラシックは理論を使いつぶしてしまって崩壊した。キーに束縛される音楽を「コーダル」と呼ぶ。

対して、「モーダル」はいうなればどんな可能性もはらんでいる。コーダルが惑星なら、モーダルは大宇宙だ。マイルスはコーダルの外側に広がる大宇宙を発見したのである。

こうして、黒人は真にオリジナルな自分たちだけのジャズを作り上げた。

実は、ジャズは黒人の民権運動の一つでもあった。

マイルスは50年代、ジャズ界のスターだった。しかし、こんな事件があった。ジャズバーの前でファンの女の子に声を掛けられ、しばらく話した後、彼女のためにタクシーをとめてあげた。それだけなのに白人の警官がすっ飛んできて、彼をその場で逮捕し、留置所に入れてしまったのである。それくらい、当時の黒人の人権は今よりも低かった。

しかし、黒人は音楽でその逆境に挑んだのである。近年、様々なデモが起こっているが黒人がそこに混ざっているのはあまり見たことがない。今だったら黒人はマイクをもって、ラップで政治主張を繰り広げるからだ。黒人とはどこまでいっても音楽の民族なのである。音楽で戦い、音楽でのし上がる。

事実、ジャズによって黒人のテクニックの素晴らしさやクレバーさは認知され、その評価はどんどん上がっていくことになる。

白人やわたしたち黄色人種にこれができるだろうか?たぶんできない。彼らは常に怒りを抱えている。白人に故郷を奪われた怒りを。そしてその怒りを音楽で爆発させる。

その魂の叫びがジャズなのだ。

ジャズ好きに大人が多いのは、その熱量を理解するまでに時間がかかるからだ。ジャズの魂に共鳴できるようになるまでには時間がかかる。僕もジャズを聴き始めたのはここ数年だ。僕はジャズの中でもマイルスやジョン・コルトレーンみたいな真っ黒な音楽が好きだ。黒人の黒人たるゆえんがぎっしり詰まった音楽が好きだ。それは他では決して味わえない興奮だから。そして、やけどしそうなくらい熱い魂の熱量に浮かされる。

みなさんもジャズを聴いてみたらいかがだろうか?

まずはマイルス・デイヴィスの名盤「Kind of Blue」から。


Miles Davis – So What (Official Video)

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