これは僕の経験談なのだが、大学への進学の時、周りの友達は「秋田に残りたいけれど行きたい大学がないので仕方なく県外に行く」という人が多かった。
県内にもいい大学はある。国際教養大学と公立美大だ。
国際教養大学は全国でもトップの大学ランクに位置しているし、言語系に進みたいなら大きく自分の力を伸ばせる場所だと言っていいだろう。しかし、あくまで言語系だけだ。
公立美大のある新屋の桜祭りにいったことがあるのだが、あそこは町ぐるみでお祭りをやっていて、公立美大の生徒が主催となって祭りを運営している。そのさまが実におもしろく、頼もしかった。また、桜祭りでは伝統工芸品の販売も多く、その人たちの多くは公立美大のOBなのだ。地元への就職を後押ししてくれる町、というとてもいい印象を受けた。なによりみんなすごく楽しそうだった。
しかし、これでは分野が足りないのだ。言語系、美術系の進路はあるが、正直、秋大はレベルが低すぎる。
秋高の生徒は毎年何人も東大に合格させるほど偏差値が高い。そもそも高校受験の段階で偏差値は60オーバーだから、秋大に入りたいと思う人はいないだろう。
ここが問題なのである。秋田は県外から見学に訪れるほど教育の水準が高い。学力試験では常にトップだ。しかし、大学になって急激にレベルが下がる。いい大学がなく、みんな優秀な人材が”仕方なく”県外に行くからだ。
人口流出を防ぐなら、大学の段階で、県内に残るという選択肢を与えてあげるべきだ。しかし、そういう選択肢はほとんどない。秋大は学部も少ないからだ。
足りないのは文学部、工学部、理数系。秋大に工学部はあるが、正直レベルが低すぎる。秋高~中央高校ぐらいのレベルの人が入って満足できる大学でなければならない。
ここで、大学よりも県内への企業誘致やAターンを推進したほうがいいのではないか、という声が上がるかもしれないが、まず、間違いなく大学で県外に行ったらそちらで就職するだろうし、そちらで結婚し家庭を持つだろう。Aターンなんて期待しないほうがいい。おそらく0.1%もないと思う。1000人に一人くらいのレベル。それくらい秋田は魅力がないし、理由がなければ戻ってくることもない。
やはり大学の段階で秋田に残る選択肢を残すというのが最善なのだ。せっかく高校までの九育水準が高いのだからそれを活かすべきだ。