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ディスクレビュー-KERENMI「1」

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KERENMIとはプロデューサーの蔦谷好位置のソロプロジェクトである。え?蔦谷好位置を知らない?関ジャム見てないの?仕方ないなぁ。

蔦谷好位置は米津玄師、Official髭男ism、[Alexandros]、back number、Superfly、いきものがかり、YUKI、sumikaなど多種多様なアーティストをプロデュースしてきた、今最も勢いがあり、そしてアーティストからの絶大な支持と信頼を勝ち得ているプロデューサーである。あるアーティストの話によると、蔦谷好位置はとにかくアーティストが出してくるアイディアに「いいね、いいね!それやろう!」と飛びついて120%のクオリティのものを納品してくるので、あまりにも制作がスムーズに進みすぎて新人バンドにはおすすめできない、バンドが楽をしてしまう、ということを言っていた。とにかく今旬なバンドは全部プロデュースしている。

そんな彼がリリースした本作。まず、客演がすごい。Official髭男ismのボーカル・藤原聡に、Mrs.GREEN APPLEのボーカル・大森元貴と今旬なバンドのボーカルがそろっている。

まず、その洗練されたアレンジに驚かされる。本作では蔦谷はプロデューサーではなくあくまでトラックメイカーとして作曲をしており、ビートとキーボーディストならではなおしゃれなコード進行に心が躍る。無駄な音が一切なく、すべてが計算しつくされているような、近代建築を見ているかのような構築美。そして数々のアーティストを手掛けた手腕を活かし、メロディもキャッチーで覚えやすく、口ずさみやすい。さすがの手腕だ。

特にいいのが、「ROOFTOPS feat.藤原聡」と「103 feat.motoki omori」だ。この二つはピアノとシンセの響きが混ざり合い、おしゃれでポップで、それでいて現代的なサウンドとなっている。シンセの音がなんとも心地よく、ピアノバッキングと協調しあってメロディを支えている。

彼はプロデュース業ではストリングスアレンジや鍵盤楽器など生楽器系をフューチャーすることが多いので、こういうEDM的なアプローチをとるとは思わなかった。しかも、ビートも聴いていて心地よく、よく作りこまれているのがわかる。プロデューサーとして、現代のサウンドをきちんと作りこんで残しておきたかったのかもしれない。いすれにしても彼はプロデューサーとしても一流なうえにトラックメイカーとしても一流なのだ。

これからの彼の活躍がより楽しみにある一枚。おしゃれな気分を味わいたいとき、特に街を歩きながら聴くと一層楽しめるだろう。