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ディスクレビュー-iri「Sparkle」

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iriはR&B直系のサウンドを身に着けたシンガーソングライターだ。まず、その見た目に反して、ファットでハスキーな歌声に耳を奪われる。こんな歌声は他に類を見ないだろう。力強く、時に男性のような低い歌声も持ち、そして色気があり、セクシーだ。J-POPではなんちゃってR&Bシンガーがとても多いのだが、彼女は違う。彼女の歌を聴いて思い浮かべるのは、アリシア・キーズやアレサ・フランクリンのようなソウルR&Bをもとにした、黒人の、本物のR&Bだ。

サウンドもファンキーなノリのベースに心地いいビートが絡み合い、思わず体を動かしたくなる衝動に駆られる。アレンジも多種多様で、エレクトリックピアノとファンキーベース主体による生音ベースの曲もあれば、今どき感を感じるシンセを前面に押し出した曲もある。しかし、彼女の曲に共通しているのはとにかく16ビート、黒人的なスイングするノリのビートであること。

なた、彼女の歌はJ-POPよりではなく、洋楽よりのメロディであり、リリックのフロウや歌詞のため方が非常に心地よく、センスがいい。日本語詞ではあるのだが、ノリは完全に洋楽。ヒップホップのような歌い方も見せるのが彼女流。

日本で彼女以上に本物のR&Bを体現できるアーティストはいないのではないかと思う。R&Bは歌い方も独特だし、変幻自在にビートに合わせてスイングしなければならない。なにより、歌声のファットさ、セクシーさが求められる。

僕は彼女の歌声を聴いた時、本当に驚いた。唯一無二の歌声だと思う。きっとみなさんもそう思ってくれると思うし、一度聴いたら忘れられない歌声だ。

R&Bの歴史は長く、古くはソウルから発展したものだが、それは名前の通り、黒人の魂と呼べるものだった。それをここまでの完成度で日本人が自分のものにしているのには本当に驚かされる。彼女には彼女なりのソウルがあり、オリジナルなR&Bであることには変わりない。洋楽に影響を受けながらも、英語詞ではなく、日本語で歌う、ということにこだわっているのもすごい。彼女はR&Bを日本に伝える伝道師となるだろう。