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ヒプノシスマイクが日本のヒップホップを革新する

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ヒプノシスマイクとは声優が演じるキャラクターがディヴィジョン(新宿、渋谷、池袋、横浜など)ごとにチームを組み、ラップバトルを繰り広げるというプロジェクトである。今までに様々なCDがリリースされ、各地でライブも披露。そして昨年には投票による優勝者の決定が行われ、新宿ディヴィジョンの「麻天狼」が優勝し、チャンピオンとしてZeebraからトラック提供が行われた。

声優がラップ?そんなの聴くに値しない、と言う人もいるだろう。そんな方はとにかく一曲でもいいから曲を聴いてほしい。ラップの技量に驚かされることだろう。

また、僕が評価したいのはトラックの良さだ。キャラクターたちは実に個性豊かで、仕事もさまざまである。例えば、執刀医、警官、軍人、殺し屋、作家、ホステスなど多種多様だ。その個性を生かすために、トラックはそのキャラクターにあったものでなくてはいけない。そのため、必然的に多種多様なジャンルのトラックが無分別に集められることになる。昨年リリースされたこれまでのヒプノシスマイクを振り返る、初心者向けのアルバムがあるのだが、それを初めて聴いて、そのジャンルの多さ、多種多様に変幻するサウンドに心を奪われた。ヒプノシスマイクの中にはすべての音楽ジャンルがそろっているのではないか、と感じるほどだ。

今現在、ヒプノシスマイクは圧倒的な存在感をもって、アニメ界隈でも、ヒップホップ界隈でもファンを増やし続けている。その内実はほとんどが女性ファンなのだが、あなどってはいけない。では、なぜ、ヒプノシスマイクはここまでの人気を勝ち取ることができたのか?声優さんの努力、と言う人ももちろんいるだろう。僕はヒップホップの観点から読み解きたい。

ヒップホップとは自らの人生をリリックに込める音楽である。エミネムは白人がヒップホップをやるんじゃないと脅されながらも、逆にそれをリリックに込めて反逆してきた。また、幼少期の家庭環境への不満をリリックに込めて感情をぶちまけるのは彼の王道となっている。ケンドリック・ラマーは白人警官が罪のない黒人の少年を射殺したことに怒りをあらわにし、それをリリックに込め、「ブラックマター」運動を勃発させた。

これと同じことがヒプノシスマイクでも行われているのである。キャラクターごとに様々な過去がある。その人生を、生き方をリリックに込め、発信しているのである。その曲を聴いた人は、「このキャラクターはこんなことを考えていたんだ、こんな過去があったんだ! かっこいい!」と感じ、よりそのキャラクターに愛着を覚える。ここに目をつけたのがおもしろい。つまり、アニメにおけるキャラクターソングとヒップホップの相性は極めて高かったのである。

現在、第二回ラップバトルに向けて各ディヴィジョンが続々と作品をリリースしている。また、従来の、新宿・池袋・渋谷・横浜に加え、大阪・名古屋のディヴィジョンが追加され、新たなキャラクターも登場している。トラックもどんどん魅力的で、個性的なものになってきている。

7月からはアニメまでスタートするようだ。このブームに乗り遅れてはいけない。ヒップホップ好きはもちろんのこと、いままでヒップホップなんて聴いたことない!という人でも楽しめる内容となっているので、ぜひ、チェックしていただきたい。