9位は、結成25周年、デビュー20周年の周年イヤーにリリースされたUVERworldの「EPIPHANY」。
UVERworldといえばロックでありながらもヒップホップやEDMなどの他ジャンルを飲み込み、現代のミクスチャーロックを確立させた張本人であると個人的には感じているのですが、今作もバンド以外の打ち込みの量は多いのですが、前作よりもギターの比重が多く感じられ、よりロックとしての力強いビートと迫力のサウンドが楽しめる一枚となっています。
毎回、このアルバムを聞いて思うのですが、とにかく音圧がでかい!ラウドネスノーマライゼーションが基本となっている時代にどうやったらここまで音圧をデカくできるんだ?と不思議に思ってしまうくらいです。
さて、このアルバムの白眉となるのはやはり「Bye-Bye to you」でしょう。
UVERworldのTAKUYA∞がインタビューで言っていたことなのですが、この曲はバンドの解散を考えたときにできた曲だと語っています。
2019年、UVERworldは東京ドーム2デイズ公演を行い、うち一日は男性限定のライブ「男祭り」でした。
このライブがあまりにも良かったため、一度、TAKUYA∞はUVERworldはここで終わってみんなの記憶のに鮮烈に刻まれたままのほうがいいのではないかと考えました。
結局は思いとどまって、コロナ禍でも制約の中でライブをし、2023年にはさらに大きな日産スタジアム2デイズ公演(うち一日は「男祭り」。7万2千人の合唱は圧巻!)を実現しました。
TAKUYA∞が例えに出していたのはローリング・ストーンズで、彼らは80を超えた今でも精力的に制作・ライブをこなしていますが、それがTAKUYA∞にはかっこいいとは思えなかったと語っています。
バンドの終わり方にはいろいろあって、ローリング・ストーンズのように以前のように評価されなくても、精力的にバンド活動を行っていく道を確かにあるだろうけれど、自分はファンの人に常に「UVERworldってすごかったよね」と記憶に残る終わり方をしたいと言っていました。
でも、それは今ではない。その思いがこの曲、「Bye-Bye to you」には表れています。
いつか君が離れていってしまう前に
自分の方から去っていってしまおうとするのは
一秒のサヨナラも言わせてくれなかった
今でも好きなアーティストの生涯の終え方が
突然木っ端微塵
悔いはないと勇猛果敢に
散りゆかれたあともずっと
僕にはもうアナタしかいない
UVERworldのファン(CREWと呼ばれています)はよく、「UVERworldは僕の人生です」と語ります。
自分よりもバンドのことを思っている”アナタ”に対して、そんな中途半端で身勝手な終わり方はできない、とこの歌詞では歌われています。
本当は守れないかもしれないような誓いじゃなくて
「明日もね」って言えるような君との日々を
ずっと愛され続けるための去り方や
永遠や無限のためにも終わらせなきゃと
そんなことばかり考えてしまうのは
君にずっと愛されていたいから
バンドの終わりはCREWを悲しませるためのものではなく、むしろCREWに愛され続けるために必要なことなんだと歌われています。
もうやだ 辞めた bye-bye to you
去られるのが怖くて自分から去っていく人生に
納得できる自分はどこにもいない
逃げる未来に bye-bye to you
今日よりも明日 素敵な自分であれるように
それを受け取ってほしい人に君以上なんていない
実はこの歌では答えはしっかりと歌われていません。だけど、”永遠”のために終わらせるやり方はやめて、これからもCREWにとって”人生”たり得るようなバンドで有り続ける。その覚悟をしてこの歌は締めくくられます。
バンドが最高の形で活動に区切りをつけて、みんなの記憶の中で永遠の輝きを手に入れる。
そういう終わり方もあると思います。
しかし、やはり1CREWである僕は、いつまでもこの6人が最高のバンドで有り続けることを求めてしまう。
それは、もしかしたら不可能なことで、メンバーにとっては枷にしかならないのかもしれません。
これが最高の終わり方だ!といって区切りをつけるのも確かにかっこいいのかもしれません。
特にUVERworldはやはりライブの熱を売りにしています。
歳を重ねるごとにもしかしたらそういうライブは不可能になっていくのかもしれません。
だけど、それでも、僕はまたライブ会場に行って、輝いているTAKUYA∞を見たいです。
今のところ、活動休止や解散は考えていないと語っていましたが、自分のキャリアにとってどの選択が一番、かっこいいのか?
それをTAKUYA∞は常に考えているのだと感じました。
もし、UVERworldが活動休止や解散することがあっても、悔いは残さないようにしてほしいし、何らかの形で音楽を続けてほしいです。
この曲はすべてのCREWに向けられたラブソングであると思っています。
あなたにとっての最高の存在であるために、どうあるべきか?今日もTAKUYA∞は苦悩しているのかもしれません。
