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Who-ya Extended「wyxt.」

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また衝撃的な新人がデビュ-を飾った。その斬新さはCo shu nieに近いものがある。

まず、デビュー曲「Q-vism」がいきなりサイコパス3の主題歌に抜擢されるという衝撃。サイコパスは長く続くシリーズであり、過去には凛として時雨やEGOISTが主題歌を担当しており、当初、発表の時点では不安の声のほうが大きかった。無名の新人がなぜ?というわけだ。僕もそう思っていたが放送を見て、驚いた。まず、この曲のすごいところは超絶スピードで織りなすカッティングリフだ。邦楽ではリフ主体の曲がなくなって久しい。しかし、彼らはそこに果敢にも挑み、カッティングという新たな手段を用いて新時代的な、絶対に印象に残る衝撃的なリフ・楽曲を仕上げてきた。僕は正直、彼らは何者なんだ?と思った。現在、顔出しはもちろんのこと、メンバーの構成も明らかになっていない。公開されている情報はボーカルのWho-yaが二十歳であることと、Who-ya Extendedはバンドではなく「クリエイターズユニット」であること。

まず、ボーカルが二十歳であることに驚いた。彼の声は男とは思えないくらいキーが高く、セクシーでありながらどこか確信犯的な理性的な側面も持つ、唯一無二の声だと思う。そしてアルバムの曲はどれをとっても歌うのが難しい。リズムが複雑で、キーも高いし、音高の上下が激しい。よくこんな曲を歌いこなせるものだ。

このアルバムはWho-ya Extendedのデビューアルバムとなるわけだが、このユニットの特徴はバンドサウンドと基本としながらも、シンセ、エレクトリックドラムなど現代的なサウンドも織り交ぜてしまうことである。そこには明確な世界観が存在する。僕はいつもWho-yaの曲を聴くと先入観でサイコパスの主人公譜たちのバディを思い出してしまう。あのオープニング映像を思い浮かべてしまう。サイコパス3はバディものの刑事ものであることが特徴的だった。その刑事の泥臭く操作しながらも確実に犯人を追い込んでいく頭脳性、そして大規模なアクション、あの二人の活躍を重ねてしまうほどに、彼らの音楽はスタイリッシュで、大人っぽく、無駄がなく、セクシーであり、同時に理性的である。Co shu nieが爆発力を持ったバンドだというなら、もっぱらWho-yaは頭脳派だと言えるだろう。音楽理論を徹底的に応用し、理詰めでかっこいい音楽をつくってしまう。

とにかくサウンドの振れ幅に驚く。バンドサウンドが特徴ではあるのだが、ピアノ弾き語りの曲もあればダンス系の曲もある。また、ギターの使い方が特徴的だ。同じフレーズを何度も繰り返し録音して音の壁を築くことをオーバーダビングというのだが、これを多用する。本当に音の壁がそこに立ち上がり、しかし、爆音でありながらもビートは16ビートとおしゃれであり、まさに理性と狂気がまざりあったような複雑なコントラストを見せる。また、アルペジオ的なフレーズも多い。ディレイやコーラスを用いたギターリフも目立つ。これらの特徴はすべてTK from 凛として時雨の常とう句にあてはまる。彼らは明確に凛として時雨の後継者としてシーンに現れたのである。そうするとサイコパス3の主題歌というのも納得である。

まず、僕が気になるのは彼らはライブをするのだろうか?ということだ。そもそも彼らはバンドなのか?もしかしてMVのアニメーションもメンバーが作っているのか?メディアミックス集団でもあるのか?とにかくわからないことだらけ。でも彼らの才能は確かなのだ。2019年からどんどん邦楽はおもしろくなってきている。J-POPの呪縛から逃れ、様々なジャンルを軽々と横断するジャンルレスな曲が増えている。彼らは今後どんな音楽をつくっていくのか。もしかしたらバンドものではなくなるかもしれない。でもその身軽さもWho-yaらしさとなっていくだろう。邦楽は次の地平も目指して今も刻々と変わり続けている。