ヨルシカのニューアルバム「二人称」がリリースされました。
今作もCDでのリリースはなし、デジタルのみで、そのかわり、前代未聞の往復書簡型小説「二人称」がリリースされています。
本記事はプロモーションを含みます
この小説は、文学の指導をする”先生”とその”生徒”の手紙を読者が覗き見るというコンセプトになっています。
中を開けると、なんと32通にも及ぶ手紙がぎっしりと詰め込まれており、その便箋の数は総数で120枚を超えるそうです。


n-bunaさんいわく、過去の文学作品で書簡型の小説というのはいくつかあるけれど、実際の手紙になっているものはなかったので作ってみた、とのことです。
これ、読んでみるとわかるんですが、とにかく机が散らかります(笑)。
一通につき平均で5枚くらい、多い時だと10枚以上の便箋が入っているので、一通一通、中身を開けて、読んでいくというのはなかなか骨が折れます。
でも、この体験が新しい!
まず、この往復書簡型小説「二人称」は先生と生徒の手紙を僕ら読者が盗み見るというコンセプトで成り立っており、いわゆるメタ的な構造を持っています。
そして、このメタ構造は小説の中で重要な意味を持ちます(詳しくは作品をお読みください)。
生徒はある日、郵便ポストに入っていた「あなたの作品を添削します」というチラシに惹かれ、先生に手紙を送ります。
生徒は普段から詩を書くのが好きでした。
それも、彼の場合、それらの詩にはメロディやリズムが付いていました。
その詩を元に構成されたのが、この「二人称」という音楽アルバム、という位置づけなのです。
この「二人称」というアルバムには、アニメ「チ。 ー地球の運動についてー」のEDに起用された「アポリア」「へび」やドラマ主題歌になった「修羅」など、既発曲も収録されています。
もちろん、これらのタイアップ曲の詩も小説の中で出てきます。
これはn-bunaさんがインタビューの中でおっしゃっていたことなのですが、驚くべきことに、これらのタイアップ曲を書く前からこの往復書簡型小説のプロットがあったそうです。(こちらを参照⏩️https://natalie.mu/music/pp/yorushika05)
3年前、音楽画集「幻燈」をリリースしてから、次のアルバムはどうしようかと考えたときに、この往復書簡型小説のプロットが思いついたそうです。
つまり、どういうことかというと、タイアップ曲も最初からこの小説に登場する前提で作られていたのです!
n-bunaさんのお話によると、自分の書きたいプロットとタイアップ先の作品の共通項をあぶり出し、どちらの歌としても成立するように作っていったそうです。
あくまで小説のプロットが先にあり、事前に先方にそのことをお伝えしたうえで、タイアップ曲を作っていくのだそうです。
これは本当にすごいことですよね。
3年を書けてこの小説を完成させたのも、タイアップを受けながらもこの小説のコンセプトを曲げなかったのも。
この小説に出てくる”生徒”は引用癖があります。
「修羅」であれば宮沢賢治の「春と修羅」、「啄木鳥」では石川啄木など、ことごとく過去の文豪の作品から引用して詩を書いています。
引用について、この小説の”先生”はこう言っています。
「引用とは一つの技術に過ぎない。結果的に引用になってしまうものと、最初から引用することが目的なのでは天と地ほどの差がある」
あくまで自分の言葉で自分の作品を作っていくことの重要性を説きます。
そして、こうも言っています。
「君はこれから、途方もなく広い砂の海から、一粒の琥珀を見つけなければいけない」
言葉とはそのまま文学の歴史とイコールです。
その意味では、すべての言葉は何らかの文学の引用であるわけですが、それを踏まえたうえで、君は君自身の言葉で、君のことを語らなければならない。
ものすごく示唆に富んだ言葉ですね。
ここから後半にかけて驚きの展開が待ち受けています。
中には「このトリックって実際の手紙じゃないと成立しないよな」というアナログの手紙であることを活かした演出もあります。
ぜひ、ヨルシカファンであればお手にとって、n-bunaさんが描く深い文学の世界にどっぷり浸かってほしいです。
この物語は”エイミーとエルマ”の物語、”盗作”の物語に続く、新たなヨルシカ文学です。
そのエモい世界観に浸ってみたい方はぜひ、お手にとってみてください。
書簡型小説「二人称」 ヨルシカ https://amzn.to/3PmEoAa
