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ビリー・アイリッシュ論「彼女は幸福になれたのか?」

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ビリー・アイリッシュのニューアルバムが遂に発売された。2020年、2021年連続でグラミーを受賞している彼女のニューアルバムは世界中が待っていたことだろう。

しかしながら、2021年グラミー授賞式の翌日にブロンズヘアに変え、4月に発表された新曲「Your Power」はなんとカントリー調の曲、「Lost Cause」のMVではザ・セレブなMVを撮ってしまい、下着姿で雑誌VOGUEの表紙を飾るなど、世の中をざわつかせてきた。

また、6月には初のドキュメンタリー映画「ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている」も世界公開され、話題を集めている。

今回はアルバムの内容に触れるとともに、彼女のパーソナルな部分にも迫っていきたい。

「Happier Than Ever」は「WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」の正当なる続編

前作「 WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 」はその時、彼女がよく見ていた悪夢がもとになって作られた。そして、その悪夢、終末的な世界観は、環境汚染、地球温暖化、豪雨被害、人種差別、性差別など数々の問題ある現実を生きる10代の心に深く突き刺さり、一気に知名度を上げた。

現代の10台の多くが不安や鬱を抱えている。

彼女自身、突如、自分の目が引きつってしまう「チック」という神経症を患っていたり、リストカットしていた時代もあり、この暗闇の中の現実を生きる若者の代表者として、彼女は彼らのアイコンになる道を選んだ。

「Happier Than Ever」”今までで一番幸福”と題された今回のアルバムは前作と対極のものになるのではないかと危惧されていたが、一聴しただけで不安は吹き飛んだ。

彼女自身が発言しているが、「このアルバムは全部、暗いか悲しい曲」である。不穏なベースに彼女のウィスパーボイスが響くのは前作とまったく変わっていない。

また、「NDA」と「There for I Am」は第二、第三のbad guyと呼べるほど、ベースが荒々しく、それでいてロックのようにスカッとする曲。

また、衝撃的だったのは表題曲「Happier Than Ever」。これはMVも素晴らしいので、ぜひ、見てほしい。

最初は穏やかなバラードだと思う。しかし、徐々に不穏な空気を帯びていく。

そして、MVでは、突如として水が流れ込み、それとともに、サウンドはグランジのような爆裂サウンドを奏で、彼女は水没した家から脱出し、屋根の上で叫ぶように歌う。

それはまさに号哭。

このMVは豪雨被害やコロナ禍の息苦しさ、あるいは彼女がスターダムに上り詰め、しかし、そこには絶望しかなかった、というような残酷な結末が描かれている。

ドキュメンタリー映画を見たとき、僕は一ファンとして、罪悪感を覚えた。18歳の子にこんな重荷を背負わせていいわけがないだろう、と。

彼女は戦っていた。何と? 自分を祭り上げる自分のファンでもないメディアや、レコード会社やプロモーションと。

「 WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 」のワールドツアーは地獄だった。

彼女はもともと足が悪い。それなのに、ライブではみんなを楽しませるため、飛び跳ねる。

だけど、バックヤードでは悲痛な面持ちで足の痛みを訴える。常にマッサージを受け、電気刺激を受け、痛みに耐えながらライブをしていた。

足首をねん挫したときはひどかった。しかし、それでもライブはあきらめず、松葉杖をついてステージに立つ。本当につらそうだった。

彼女は僕たちの見えないところで、本来ありえたはずのティーンエイジャーとしての生活を捨てなけれればならなかった。それが、見ていて本当につらかった。

このアルバムには彼女が最年少グラミー5冠という偉業と引き換えに失ったものたちのことを歌っている。

「彼女はセレブになってしまった。もう私たちのビリーじゃない」

そんなこと、このアルバムを聞いたら言えなくなる。今も、ビリーはビリーのままいてくれるし、何も変わっていない。それを証明しに来てくれた。

衝撃イメチェンの真実

彼女はグリーンとブラックのグラデーションの髪形をずっと保ってきた。多くの人がこのパンキッシュなイメージだから、王道のブロンズに変えたときには相当、みながざわついた。

しかし、実は彼女は生まれつき奇麗なブロンズなのである。典型的な金髪碧眼にあたる。これは彼女の幼少期から現在までの写真をまとめた写真集「ビリー・アイリッシュ」を見ればわかる。

実はただ単に髪色を戻しただけだった。

また、デビュー当時からダボダボの服を着ていたビリーが下着で雑誌の表紙を飾ったのには驚かされた。

しかし、この話も実は奥が深くて、彼女はもともと自分の体が嫌いなのだそうだ。自分の体が受け入れられないという疾患を抱えているらしい。

彼女はマドンナと比較しても遜色がないくらい、ダイナマイトボディである。実は、これは子供の時からで、写真集で13歳のころの写真があるのだが、あまりに胸が大きくて18歳くらいに見えてしまう(外人は成長が早いからそう見えるのかもしれないが、13歳でこの大きさだと周りから何か言われててもおかしくない)。

どうやら、彼女の体のコンプレックスは幼少期からあるらしい。

それをなぜ、今、ここでさらけ出そうとしているのか?

それは彼女の、コンプレックスと戦おう、ありのままの自分を受け入れたい、という思いからだと考える。

髪色をブロンズに直したのも、肌を露出することが多くなったのも、それなら納得できる。

なにせ、彼女は今年20歳だ。そろそろ、思春期を終え、大人にならなきゃいけない、と彼女は決心したのだろう。

自分を変えるために、苦しいけれど、あえてありのままの自分を見せる。

それは彼女が少女から大人の女性に変わっていっている証拠だろう。

自分の内側で戦うビリー・アイリッシュ

彼女は常に自分の中に葛藤を抱えている。それを曲にして吐き出す。

そして、それは本当に10代の女の子が抱えている、素直な悩みだからこそ、多くの人が共感し、勇気づけられる。

彼女の歌は世界中の数え消えれないくらいの女の子の、消えてしまいたい夜に今でもそっと寄り添ってくれる。

彼女は若者たちのカリスマであり続ける。

ビリー・アイリッシュの人生は、私たちファンの人生の礎であり、だからこそ、永遠に名を刻み続けるだろう。

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