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私的2021年アルバムトップ10 第8位 ザ・キッド・ラロイ「F*UCK LOVE(SAVAGE)」

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第8位の発表です!

10位のジャスティン・ビーバーの回でも触れたのですが、8位はオーストラリア出身の新生SSW・ラッパーのザ・キッド・ラロイです!

ラップとポップスの幸福な融合

このアルバムはジャンル的に言うとR&Bなのですが、その特徴はラップとポップスを自在に行き来する歌にあります。

実はこのスタイルはザ・キッド・ラロイが生み出したものではありません。

これはグラミーノミネート経験のある「ポスト・マローン」が生み出した一つのカルチャーであると言えます。

まずは、そのポスト・マローンの曲を聞いてみましょう。

どうでしょうか?

ラップのようにも聞こえるし、ちゃんとメロディを歌っているようにも聞こえます。

これが画期的なことだったんです!

2018年ごろ、トラップというヒップホップのジャンルが爆発的に拡大しました。

その筆頭がポスト・マローンでした。

ポスト・マローンは当時はきちんとラップしていましたし、もっと攻撃的な音像でした。

しかし、このトラップというのはめちゃくちゃ低音がでかくて、暗い音楽だったんですね。

だんだんこの暗さを嫌悪する層が出てきて、徐々にR&Bにシフトする流れが出来上がります。

この転換点を担ったのがポスト・マローンでした。

彼はアルバム「Hollywood Bleeding」でラップと歌を区別なく歌い、ヒップホップとR&Bの垣根をぶち壊しました。

これは日本でも同じようにいえる現象です。

Creepy NutsもAメロ・Bメロはラップで、サビは歌い上げますよね?

やはり、歌ったほうがパフォーマンス的には強いんです!

やっぱりみんな歌ものが好きなんです。

むしろ、メロディがないと落ち着かない、だからラップは聞かない、という層が多く。この層にどうやって訴求するのか?というのは多くのラッパーが悩んでいた部分でした。

そこをポスト・マローンは「なら、混ぜちゃおう!」と言って、もっと大きなくくり、ブラックミュージックとしてのカルチャーを作り出したわけですね

そして、その血脈はザ・キッド・ラロイにきちんと受け継がれています。

実は、ザ・キッド・ラロイはオーストラリア出身ですので、ブラックミュージックとは遠い距離にあるんですよね。

でも、そこはZ世代。おそらく自らヒップホップのカルチャーに入っていったんでしょうね。

このアルバムに収録された曲はどれも、正統なブラックミュージックということができます。

実はオーストラリアというのはあまり有名人がいません。

英語圏ではありますが、やはり距離的にアメリカから遠いので、カルチャーが育っていない部分もあったのかもしれません。

このアルバムで一躍スターになったザ・キッド・ラロイはオーストラリアの英雄として語られているようです。

個人的にも、こうしたアメリカ文化から遠いところからブラックミュージックというある種、ローカルなジャンルが広がっていくのは実にインターネット的で、現代的だと思います

BTSが本気でアメリカで戦う時代です。

オーストラリアから世界を攻めてもいいじゃない、というお話。