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ヨルシカはなぜ「音楽画集」を出したのか?

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ヨルシカがニューアルバム「幻燈」とともに「音楽画集」と銘打って画集を出版しました。

この画集にはイラストにORコードが付いていて、それを読み込むと買った人しか聞けない音源が聞けるというものです。

そして、今回はCDのリリースは一切なし。

サブスクと画集のみというチャレンジングなリリースになりました。

いや、むしろこちらのほうが自然なのかもしれません。

いまさらCDを買ったところでパソコンに取り込もうにもプレーヤーがないし、置物にしかなりません。

だったらいっそファングッズ化させようというのは多くのアーティストがCDにライブ映像を付属させていることからもわかることです。

注目なのは、この音楽画集でしか聞けない、サブスクには入っていない音源がたくさんある、ということです。

実は僕は高くて買えなくて聞けていないのですが、インスト曲やずいぶん前の「靴の花火」なども収録されているようです。

音楽画集の方はこれで一つの別の作品だ、ということです。

n-bunaさんが音楽画集の構想に至った経緯を語ったインタビューを掲載します。

僕の中で画集という形態を考えた出発点として、数年前にアートシーンで起こったNFT、ブロックチェーン技術の流れがありました。

(中略)

今この変革期にあって、それでもCDという旧時代のメディアにすがりついている日本で我々が何をさせるかと考えたら、技術と社会現象の比喩としての表現物にするのがいいのではないかと。

画像データがまさにオリジナルデータとすて作られている時代に、フィジカルの絵をまとめた「画集」という形態でリリースする。

ROCKIN’ON JAPAN5月号より

NFTとは、これまで複製し放題だったデジタルデータに署名をつけることで、そのデータの所有者を明確にする技術です。これにより、デジタルデータは一点ものの複製不可能なものになりました。

NFTについてはこちらの記事でも解説していますので読んでみてください。

つまり、この音楽画集はNFTカルチャーへのアンチテーゼ、真逆のことをフィジカルでやるということだったのです。

このインタビューを聞いたとき、n-bunaさんがそこまで考えて画集の構想を固めていたことに驚きました。

ポップミュージックとして今この時代になにをすべきかを熟慮した結果だと思います。

一方、サブスクやダウンロードで聞けるアルバムは既発曲が多く、最近のアルバムにありがちなシングルの寄せ集めという感じも受けます。

ですが、やはりこの形態が今この時代に求められるアルバムの形だとも思います。

今回の曲はすべて小説がモチーフになっており、それをn-bunaさんが自身の世界観で色付け、拡張した曲になっています。

たしかに小説の断片は感じるのですが、全体を聞いたときの感覚はやはりヨルシカの曲だ!となります。

オマージュをしながら自身の表現にきちんと落とし込む、その力量に目をむくことになります。

また、初めてのn-bunaさんの歌唱による「451」も注目ポイントです。

これはsuiさんが語っていたことですが、はじめはn-bunaさんはsuiさんに歌ってもらおうとしたのですが、suiさんが「これはn-bunaくんが歌って方が味が出る」といって歌ってもらってそうです。

n-bunaさんの歌唱は拙いながらも、この曲の持つ熱量をダイレクトに伝えてきます。

また、suiさんの歌唱表現もさらに広がりました。曲ごとに主人公に成り代わり、声質を変えながら演じるように歌う。これこそがヨルシカのsuiの表現力だ!と思わされます。

ヨルシカの新作「幻燈」は新たな挑戦とポップシーンに風穴をあける表現力の塊です。

ぜひ、一人でも多くのひとに聞いてもらいたいと思います。

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