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書評-森博嗣「面白いとは何か? 面白く生きるには?」

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森博嗣が「面白いもの、こと、あるいは面白い人生」について書いた新書だ。森博嗣は最近、新書やエッセイの執筆が多い。そしてこれが非常に面白い。森博嗣はいわゆる普通の凡庸な人間ではない。考え方ひとつとっても私たちでは考えもしない見地に立って、物事を一刀両断する。ときにそれは倫理観を疑うようなこともあるのだが、工学博士である彼が論理的に解説するので、納得してしまいそうになる。

そんな彼が今回書いたのは、「面白い」ということについての新書。一クリエイターとしてなにが面白いのか、そして自分にとって面白いものとなにか、面白い人生とは何かについて論じた本だ。この本はいろんな視点で楽しむことができる。

まず、前半は人はなぜ、なにを面白いと感じるかについての考察。この辺はかなり論文っぽいというか非常に論理的で明晰な答えが書かれている。

さらに、定年退職をして趣味を見つけたいという人や、休日の過ごし方が思いつかないという人のため、つまり一般に新書をよく読む人に向けたアプローチとして、面白い生き方について書いている。

いわく、面白いことというのはエネルギーがいることだ。楽をして楽しもうなどと思わないほうがいいと一刀両断している。基本的に面白さというのは0から物を生み出すことだ、と言っている。彼自身、幼少期から工作にいそしみ、それは現在でもずっと行っている。その瞬間がどんな瞬間よりも楽しく、幸福なのだそうだ。0から生み出さなくても、自分で何かやってみる、行動することの大切さを説いている。映画を見たり、音楽を聴いたりするのはどれもインプットでしかない。人はもっとアウトプットの楽しみを知るべきだ、と言っている。たとえば、音楽が好きだったら楽器を演奏してみる、工作が好きだったら家具を自作してみる、そうするとはじめは面倒に思えてもどんどん熱中していくだろう。アウトプットは年を取ってもできるし、そんなにお金もかからない。本当は「面白さ」とは買うものではなく、自分から創り出すことなのだ。

それから、一作家としての面白いの定義。これは非常にためになった。まず、彼はアルバイトのために作家になったと言っている。だから、あくまで仕事でしかないし、何か伝えたいことがあるわけでもないし、書きたいものがあるわけでもない。ただ、お金のためにやっていると本人がはっきり言っている。そのうえで、計算で小説を書いている、というのだ。過去、ヒットした作品のいいとこどりをして、それを組み合わせて新しいものを作る。これこそが王道だ、と。また、メジャーなものに手を出してもよほど質が高くなければ淘汰されると言っている。だったら絶対数が少なくてもマイナーなものを高品質に作ればいい。そうすると一定数の読者はつくし、そのうちにメジャーなものになるかもしれない。一番ダメなのは個性がないもの。新しくないもの。こういうものは、面白いの定義である新しいこと、興味を引くものであることの条件から逸脱している。

本書は実に広いターゲット層にアプローチできる本だ。特に僕としてはクリエイターとしての面白さに興味をひかれた。僕も森博嗣を愛読しているが、彼の小説はすべてが新しいというわけではない。そもそもミステリーとは伝統を重んじるものだからだ。だけど、彼独自の視点が入っていたり、あるいは最新技術を駆使した高度なトリックがあったりして、少しづつ新たな要素を入れているのだ。しかし、読む人にはそれは新鮮に写る。伝統を重んじながらも、逸脱しない限りで新たなものを入れたり、壊したりする。これはまさに芸術の神髄だと思う。

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