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3.11を過去にしたくない

3.11の唄を作りました。

詳しくはキャプションに全部書いたのであんまり付け足すことはないです。

今年で9年目。僕が3.11を経験したのは17歳のころでした。思春期真っただ中です。その影響は計り知れなかった。僕たちはあの日に世界に対する希望をすべて失ったんだと思います。神はいないことをみんな知ってしまった。神に祈ったところで救ってはくれない。自分の手で、自分の力で立ち上がるしかない。その残酷さに立ち止まってしまった。たぶん、今の世の中がこんなにも汚れているのは、世界が美しくないことを知ってしまったからです。あの日、世界の最も醜い場面をすべての人類が目にしたのです。だから、あの日から世界は人類にとって醜いものになってしまった。

僕の住む秋田市では大きな被害は出ませんでした。停電になったくらいで、それも翌日には復旧しました。しかし、何が怖かったかというと、何が起きているのかわからないのが怖かった。僕の住む地域は比較的早くテレビも復旧しました。そこから繰り返される津波の映像。そして、あの映像が届いたのは3月12日の夕方だったと思います。福島第一原発が爆発する映像です。そのころには僕の容量はとっくに限界だった。テレビはつけっぱなしだったので、なるべく目にしないように、耳に入れないように、小説を読むことに集中しました。そうするしかなかった。でもあとから考えても、僕は恥ずかしいことをしたと思います。僕は逃げてしまった。あの惨事から、目をそらしてしまった。その罪は重い。今、そこで苦しんでいる人がいるのに、手も差し伸べず、同情もせず、見て見ぬふりをした。僕は弱い人間でした。

9年経って、ずいぶん3.11に対する認識も変わってきたようにも思います。3.11直後は小説や映画では触れてはならないこととして禁句になっていたと思います。それが改善されてきたのはここ最近のこと。先週、福島第一原発でなにが起きていたのか、そのドキュメンタリーをもとにした「FUKUSHIMA 50」が公開されました。ここまで直截に3.11を描写した映画は初めてだと思います。誰も好き好んで3.11の話を受け入れようとはしなかった。しかし、それができるようになったのは、やはり時がたったから、というほかありません。また、小説でも、直接3.11を描写したものは僕はあまり思いつきませんが、著名なラインでいくと、「屍人荘の殺人」の主人公が3.11の被災者でトラウマを抱えている、という設定がありました。ごくごく当たり前のようにそういった登場人物が出てくるのは、ようやっと小説界が3.11に向き合えるようになった、ということでしょう。

しかし、それと同時に、9年経って、3.11が過去に、歴史に代わっていく瞬間というものを僕らは目にしているんだと思います。

ある人が、3.11というのは昭和生まれの人にとっての戦後体験のようなものなのだ、と言っていました。戦時中にはこんなに大変なことがあったんだよ、とおじいちゃん、おばあちゃんは語ります。そしてそれは明らかに過去のものになって、今はよくなっている、という意味合いが含まれています。過去になるとは、歴史になるとは、そういうことです。

僕は3.11が歴史に変わって、あのときはこんな大変なことがあったんだよ、と語る日が来ることを拒みたい。僕はあのときの喪失感をそのまま抱えたまま大人になりたい。3.11を簡単に振り返って、一言でまとめたりしたくない。

だって僕はあの日にあんなに無力で、弱かったから。なにもできなかったから。これがせめてもの罪滅ぼし。

たぶん、僕が3.11を客観的に振り返れた時、それはもう僕ではない。3.11という喪失のピースを失った僕なって僕じゃない。

だから、僕は3.11という喪失を、ある意味では愛している、愛着を持っている、ということだと思います。その喪失感が今の僕を支えている。今の自分は3.11によって間違いなく形成された。

なら、それは無意味ではなかった。逆説的ではありますが、失ったことで得たものもあった。

僕は被災地に行ったことがありません。行く勇気がなかったから。募金もしました。毎年、黙とうもしています。でもそれだけじゃ足りない。僕らはそろそろその失った穴を埋めるべきなのです。それが具体的になんなのか、僕にはわかりません。東北もずいぶん復興しました。金銭的に困っているところや、観光面で困っているところはもうそんなにないんじゃないでしょうか。

でも、僕にとっての3.11は永遠に終わらないんです。それは人類に残された課題だから。その答えを、10年目に向けて探し続けます。

最後に、あの日、失われたすべての命と、傷つけられた人々の心を想って、哀悼の意をここに表します。

                      2020.03.11 tokiha

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