最近、ボカロのスマホゲー「プロジェクトセカイ」の影響で新人ボカロPが続々と登場しています。
僕も少しは追ってましたが、あまりの数に追いきれなくなってやめました。
たぶん10代だと思うんですけど、プロ級に作曲がうまいです。
今の子たちってyoutubeとか本とか、とにかく勉強教材があるのでいくらでも理論を学べる。
というか、肌感覚で作ってる感じもして、自然と理論的になるみたいな。
それくらい沁みついてるんです、音楽が。
それは明らかにストリーミングが生み出した成果だと思います。
そこは純粋に評価してます。
だけど、スマッシュヒットにはいかないんですよね。
今のボカロのスマッシュヒットは100万以上。
1000万行くときもありますね。
で、その新人ボカロPはよくて数万再生です。
なにが決定的に違うか?
新人ボカロPはJ-POPを作ってしまっているんです。
ポップなものをつくることは悪いことではないです。
むしろ強みだと思います。普通の市場であれば。
ネットミュージックって基本的にJ-POP市場と全く違うんです。
ネットに音楽を聴きに来ている人たちはJ-POPに飽き飽きして、刺激を求めて聴きに来るんです。
そこでまたJ-POP聞かされたら再生しないですよね。
つまり、ターゲティングができてないってことです。
今の流行りのボカロ曲を上げてみましょう。
面倒なのでAdoさんとかyamaさんとか人が歌ってる場合は抜きます。
「ヴィラン」1687万回、「ベノム」2700万回、「KING」2000万回です。
モンスターですね。
MVでもそんないかんやろ。
この辺は「歌ってみた」でも定番、というか課題曲みたいな感じなのでその分再生されるんでしょう。僕も死ぬほど聴きました。聞き飽きた。
この3曲に共通しているものは何か?
①音楽理論完無視
コード進行という文字は彼らの頭にはない。そこが中毒性を生み出している。
②10代の鬱屈とした心情をそのまま吐露
10代のどうしようもなく救えないマイナスな感情を慰めることなく「悲しい!切ない!苦しい!」って叫びながら笑うような曲です。ある種、享楽的というか、慰めることなく、「わかるよ、でもいまこのときだけは踊ろうぜ!」みたいなノリ。
実際、本当に苦しい時って慰められるのむかつきますよね。こうやって寄り添って、「わかるよ。俺も苦しいんだ」って言ってくれたほうがいいっていうこと。
③歌詞が意味不明
これが一番大事。
意味が分からないから何度も聴こうとするんです。
よくできた曲はすべてを明かさず、むしろMVで謎を深め、もう一度MVを見る、という導線が組まれています。
考察班が出てきたら完璧。
もう前後の文章とかつながってなくていいですよ。フィーリングがあればいいです。
この3つを守ればボカロでヒットは狙えます。
ボカロを聴きに来てる時点で普通の曲を求められてないことは自覚してください。
「自分はJ-POPが創りたいんだ!」と思うならネットとかで募集してユニットにしてください。
ネットミュージックっていうのはJ-POPに対するカウンターなんです。メインストリームではないんです。
ボカロをやる以上は、「へんてこで意味不明な曲をつくるぞ!」と覚悟を決めてください。