2021年グラミー賞が3月15日にLAにて行われました。
毎回、グラミー賞と言えば、「白人男性がほとんどを占めている」「女性受賞者がいない」と発表の後はネット上で紛糾するのが恒例。
今回もご多分に漏れず、アジア人初ノミネートとなったBTSが受賞を逃したことでネットは大炎上。
でも、これが通常運行ですし、いつものことです。グラミーってそういうものだし、特に気にしないし、期待もしてないから、みたいなスタンスを僕は取ってます。
日本で言う紅白で必ず演歌が出る問題と一緒です。
今回のトピックスは主要4部門すべて女性、というか、ほとんどの賞を女性が総なめにしました。
これはねー、ちょっとあからさますぎる。
賞の中で「グラミーレコードはすべての人種差別、人権侵害、権利擁護のためにともに戦います」と言っておきながら、忖度しすぎて逆に女尊男卑になっている感が否めない…。
実は裏である事件が起こってました。
このブログでも何度も取り合げて、絶対グラミー取る!と言っていた「The Weekend」がどこにもノミネートなされなかったのです。
勘違いしないでください、僕の耳が悪いんじゃないんです。
彼のアルバム「After Hours」はビルボードチャート1位を獲得するにとどまらず、世界30か国以上で同時に一位を奪取しました。とんでもない快挙です。
日本ではきゃりーぱみゅぱみゅが「Blinding Lights」のダンス動画をあげてバズってましたね。
The Weekendって2016年、2018年と二度にわたりグラミーに出場し、受賞しているんです。かなり新人のころから賞を取っているので、いわばグラミー肝いりの新人だったわけです。
ところが裏切られるようにノミネートなし。
The Weekendって黒人なんですよね。で、実はグラミーの主要四部門(最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀楽曲、最優秀新人賞)で黒人がとったことはほとんどないです。
ケンドリック・ラマーは「To Pimp A Butterfly」で2016年、マイケル・ジャクソンに次ぐ史上二番目に多い11部門にノミネートされましたが、受賞は5部門で、主要四部門には入れませんでした。
このアルバムはブラックライブズマターの発端となった重要なアルバムなのに関わらず。
グラミーの主要四部門って聖域なんです。だから、黒人男性に取らせたくない。
今回はミーガン・ジー・スタリオンが最優秀新人賞を受賞しているので、「黒人女性」は入っていますが、賞全体を見回しても男性が少なすぎる。
明らかな忖度なんです。「これだけ女性いれとけば文句ないでしょ?」っていう意図が見え見えなんです。
それよりも、グラミー側は今回、ビヨンセを「シンガーで男女含め28回受賞の最多受賞記録」を打ち立てることをトピックスにしたかったみたいです。
いや、グラミーが女性に賞を上げるようになったことはすごい進歩だと思いますよ。ちょっと前までほんと白人男性だけだったんですから!
でも、これって「公平に審査を行っている」と言えるんですかね?
本当にそのアルバム・楽曲の音楽的分析、売り上げの分析、アーティストの影響力を考慮したうえでこの賞は選ばれたんでしょうか?
正直、あからさますぎてそうは思えない。
明らかな忖度にしか見えない。
いいメッセージにはなったと思います。
アジア人初ノミネートも大きなトピックスです。
しかし、音楽評論がおろそかにされる賞はもはや賞ではなく、ただのエンタメショーか、競馬レースみたいなものだと思います。
いや、別にいいんですけど。昔からグラミーはそういうもんだったので、今更がっかりすることもないですし、おそらく来年も見ますし。
ただ、賞の在り方というものをきちんと考えないと、今後、グラミーの影響力はなくなって賞の存在が脅かされるのも時間の問題かなと思います。