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私的2019年アルバムトップ10-[6位]ずっと真夜中でいいのに-潜潜話

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すみません、ずっと真夜中でいいのにをランクインさせるのをすっかり忘れていて、ここで同率6位とさせてください。もう発表しちゃってるから…(笑)

さて、気を取り直して、ずとまよだ。2018年、突如として投稿された「秒針を噛む」が反響を呼び、現在、3600万回再生。当時からそのミステリアスな歌詞と映像のコラボレーションに魅了される人が相次ぎ、どんどんSNSを通じて拡散されていった、まさに現代的なアーティストの代表格といえる彼女らだ。


ずっと真夜中でいいのに。『秒針を噛む』MV

ずとまよの歌詞は独特だ。

「秒針を噛む」

”このまま奪って隠して忘れたい

分かり合う〇 一つもなくても

会って「ごめん」って返さないでね

形のない言葉はいらないから”

わかりそうでわからない。MVにヒントがあるのかも?と思ってみるのだが、実はMVは全く関係のない映像だったりする。

このわかりそうでわからないところがずとまよの中毒性の理由だ。”もう少し聴けばわかるかも”と思わせる技術、でも決してわからない。この不可思議性こそがアイデンティティなのだ。

そして、ずとまよの特筆すべき点はアレンジの素晴らしさだ。

ずとまよのアレンジャーはだいたい、「ぬゆり」か「100回嘔吐」だ。この二人はボカロPとして活躍しており、ボーカルのACAねの意向かプロデューサーが仕組んだんだろう。

このアルバムでアレンジで度肝を抜かされた局がある。「100回嘔吐」担当の「蹴っ飛ばした毛布」だ。


ずっと真夜中でいいのに。『蹴っ飛ばした毛布』MV

この曲のキモはサビの展開だ。まず、サビに入った途端、音数が減る。そこからテンポが倍になってどんどん加速していく。楽器数も増えていき、どんどん盛り上がっていって、なんと間奏で頂点に達してしまう。この曲はサビから間奏への流れが完璧で、間奏でぶちあがるという、まるでEDMのような展開の仕方をしているのだ。

こんなサビは聴いたことがないと思った。しかし、アレンジに耳がつられすぎることはなく、むしろメロディの良さを生かしたアレンジであることに気づく。サビのメロディのなんたる切なく美しいことか。”素直になりたいんだ”という言葉が余韻のように響く。本当にため息が出るほど、論理的で、直情的で、知的なアレンジだ。

また、ずとまよの曲はベースが鬼畜なことで知られる。永遠スラップしなきゃいけないのだ。弾いてみたをあげた人が「親指がもげる」と言っていた。

近年、ポルカドットスティングレイなどベースのラインがアレンジにおいて重要な意味を持つ楽曲が増えてきた。これは洋楽でファンクが見直されていてそのグルーヴを日本に持ってこようとしているのではないか、と思われる。

ずとまよは期間限定でライブ動画を挙げているが、やはり演奏力がすさまじく、これでライブなのか?という迫力がある。


【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『“Midnight Forever Live” from YouTube Space Tokyo』

ライブ活動を精力的に行っており、そこがそのへんのYoutubeアーティストと違うところだ。フィジカルが強くなくてはもう生き残れない。ネットがいくら発達したとしても、ライブだけは置換可能ではない。CDがなくなったとしてもライブはなくならない。AIが曲を作るようになってもライブだけは交換不可能だ。だから、ライブ活動はネット社会において極めて重要なのだ。

1stでここまでの完成度を見せつけてしまうというのはあまりに驚異的だ。ACAねさんはいったいいくつなのだろう?おそらく若く発掘された逸材なのだろう。彼女が描く世界がどのように深化していくのか今から楽しみで仕方ない。