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音圧が上がらない問題の正体

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先日ようやく新曲のマスタリングが終わり、一応の完成をみました。

せっかくなのでMVをAIで作らせてみようとテストしているのですが、ここで早速つまずいています。

今のAI動画は、最長でも15秒程度しか生成できないのです。

一度テストしてみたところ、ちょうど15秒だと思って確認したら実際は15.75秒だったらしく、そこで尻切れになってしまいました。

結果、リップシンクが盛大にズレるという事態に。

リップシンクを使う以上は音源が必要ですし、僕はDAWが使えるのだから、タイムコードできっちり15秒に合わせて書き出したものを読み込ませないとダメなんだな、と痛感しました。この辺はちゃんとやらないとうまくいかない気がしています。

さて、前置きが長くなりましたが、今回はそのマスタリングの話をしようと思います。

マスタリング、やっぱり難しいですよね。

なぜ-8LUFSを狙うのか

今回、僕はとりあえず-8LUFSを目標に設定しました。

YouTubeのラウドネス基準は確か-14LUFS、あるいは-12LUFSくらいだったと思います。

というのも、今はラウドネスノーマライゼーションというものがあり、勝手に音圧を上げたところで、プラットフォーム側で自動的に音量を下げられてしまうからです。

それを見越して-8LUFSくらいで突っ込んでおけば、CDにしたときにも大体の音圧は出る。

そういう目算で、そのあたりを目標にやろうと思っていました。

ところが、ここで「音圧が上がらない問題」に大きくぶつかります。

音圧を上げようとすると、どうしてもドンシャリになってしまう。というより、ローとハイが潰れてしまうんですね。

これは本当によく起こることだと思います。

犯人は「EQのかけすぎ」と「コンプ不足」

これをどうしたものかと、いろいろ試行錯誤しました。

その結果たどり着いたのが、「このEQ、ちょっとかかりすぎてるんじゃないか」「コンプがあんまりかかってないんじゃないか」という反省です。

結局、いろいろ見直してみると、大体は「EQのかけすぎ」と「コンプがちゃんとかかっていないこと」が問題であるようです。

これがあると、音圧の頭打ちに引っかかる。マキシマイザーに引っかかって、音圧が上がらなくなってしまう。

なので、ちゃんとコンプで潰した上で、余計なEQを削るという作業が必要になります。

そしてここが重要なのですが、この作業は一度マキシマイザーをかけた状態で再調整しないとできないんですよね。

多くの人は、マキシマイザーをかけていない状態でEQとコンプをかけて、いざマキシマイザーの段になって「音圧が上がらない」という壁に直面するわけです。

そこでもう一度前の段階に立ち返って、「ここのEQ、本当にいるのか」「コンプはちゃんとかかっているか」を確認する必要があります。

コンプはマルチバンド一択

まずコンプについて。これは完全にマルチバンドコンプでないと無理ですね。

低域をちゃんと削ってあげることが大事です。

マキシマイザーをかけると絶対にローが出てくるので、そこをちゃんと抑え込む必要があります。

だいたいの目安としては、-3dBくらい削れていれば問題ないかなと思います。

ハイも上がってくるので、こちらも少しコンプで抑えてあげる。ただし、繰り返しになりますがマルチバンドである必要があるわけです。

EQは一つに絞り、MS処理を使う

EQに関しても、たとえばEQを2つかけているような状態だと、多分余分な成分が出てきてしまいます。

一つのEQでやる、というのが一点。

そしてもう一点、MS処理がほぼ必須になってくるかなと思います。

具体的には、こんな考え方でやっています。

  • ミッド:真ん中にいるキックとスネアを立たせる。ベースが出すぎているなと思ったら抑え込む
  • サイド:ダブルで振ったギターやピアノがいる帯域なので、そのあたりを持ち上げてあげる
  • ボーカル:だいたいセンターにいるので、ちょいミッドハイあたりを上げてあげるとよく聞こえるようになる

MS処理の落とし穴:位相とモノラル互換

ただし、MS処理をすると、だいたい位相が乱れます。

逆位相が発生するので、メータリングで位相の波形などを見て、「これぐらいズレているんだ」と自覚してやらないといけません。

というのも、たとえば今もラジオのAMは必ずモノラルで放送されます。

そういうことを考えると、モノラルで再生される可能性も勘定に入れなければいけないわけです。

それを見越して、あんまりサイドに広げすぎない。

結構ありがちな問題として、サイドに広げすぎた結果、モノラルにしたときに音がすごく小さくなってしまうということが起こります。

位相が乱れているせいで、モノラルになった瞬間に非常に弱い音になってしまうんですね。

MS処理でサイドを上げすぎない。 これは一つ大きなポイントかなと思います。

マキシマイザーは段階的に重ねる

マキシマイザーについても書いておきます。

今回、僕はメインにiZotope Ozone 12のIRC5を使っているのですが、それでも音圧が上がりきりませんでした。

そこでWavesのL3系マキシマイザーを併用し、リミッティング程度に-5dBと-3dB、少し叩いてあげるという処理を挟みました。

単体のマキシマイザーでは-8LUFSまで上がらないことがあるので、少しずつ音圧を上げていく。

ほんの少しリミッティングしてあげて、ある程度持ち上げてから、最後にOzoneへ持っていく。

この流れが、今回はどうしても必要でした。

ダイナミクスをどう考えるか

さて、ここからは少し価値観の話です。

「音量を下げられるのであれば、そこまでマキシマイザーをかける必要はない。-14LUFSをきちんと守るべきだ」

そういう意見があるのは、もちろん承知しています。

ただ僕は、ダイナミクスが大きすぎるのも問題だと思っているんです。

AメロBメロとサビの音量差が激しすぎるのは、リスナーにとって親切ではない。

だからこそ、マキシマイザーでリミッティングしてダイナミクスをいい感じに縮めてあげるのも、一つの親切心なんじゃないかなと僕は思っています。

実際、日本の市販曲はだいたい今-8LUFSくらいなんですよね。

海外だと-9LUFSくらいまでのこともありますが、だいたい標準規格に合わせてやっている印象です。

-14LUFSとかに忠実に従うと、本当に音が小さくなってしまうので、僕はそれはあまりやりません。

結局のところ音量は下げられるわけですが、たとえばEDMやロックは、音圧がしっかり出ていないとジャンル感が出ない

音の密度が大事になってくるジャンルなんですね。

そこはしっかりまとめてあげないといけない。

マキシマイザーは結局リミッターでもあるので、そこで音の密度を高めてあげることが必要なんじゃないかな、と思っています。

まとめ

改めて要点をまとめると、こうなります。

  • 音圧が上がらない原因は、たいていEQのかけすぎとコンプ不足
  • その見直しはマキシマイザーをかけた状態で再調整しないと意味がない
  • コンプはマルチバンドで、低域を-3dB目安に抑える
  • EQは一つに絞る、そしてMS処理を活用する
  • ただしサイドを広げすぎると、モノラルで死ぬ
  • マキシマイザーは段階的に重ねて目標値まで持っていく

もちろん、これはあくまで一個人としての意見です。

全然反論はあっていいと思うのですが、「僕はこういうふうにやっています」というのを今回まとめてみました。

ちょっとでもためになった方がいらっしゃったら、ありがたいなと思います。